前夜の雷雨も上がり、猛暑続きの日々に少しだけほっとするようなお天気の8月27日土曜日の午後、第5回 Salon de 修猷が開催されました。
70名弱のご参加で、例年より小規模な会となりましたが、客席がステージを取り囲むようにこぢんまりとまとまった会場は、まさに"サロン"という雰囲気で、演奏者の息遣いも間近に感じられる空間となりました。
今回は、筑波大学附属視覚特別支援学校高等部音楽科のピアノ科教諭としてご活躍中の岩城美智子さん(昭和59年卒)と、ご友人のクラリネット奏者・原ひふみさん、チェロ奏者・嶋田拓夫さんによるコンサートをお楽しみいただきました。
続いて、岩城さんが修猷卒業後進学された武蔵野音楽大学で寮生活を共にして以来のご友人でいらっしゃる原ひふみさんがご登場。サン=サーンス作曲「クラリネットとピアノのためのソナタ」作品167変ホ長調を演奏していただきました。
この曲は、クラリネット奏者も全曲通して演奏するのはなかなか大変な難曲とのことですが、今回は第1楽章から第4楽章までフルに原さんの超絶技巧をご披露いただきました。難しいアンサンブルも、さすが大学時代からのご友人同士の息の合わせ方で、甘く切ない感じの美しいメロディーが聴く者の胸に迫り、心を揺さぶられました。
引き続き嶋田さんによるシューベルト作曲「アルペジオーネ・ソナタ」イ短調D.821......これはアルペジオーネという、チェロよりギターに似た楽器のために作曲されたもので、それをチェロで表現するには音域的にも技巧的にもかなり無理を要するとのことですが、ここでも嶋田さんの超絶技巧が発揮され、岩城さんが高校時代から憧れていたというこの曲を存分に演奏していただきました。
プログラムの最後はベートーヴェン作曲「クラリネット・チェロ・ピアノのための三重奏曲」変ロ長調 作品11「街の歌」より第1楽章と第3楽章。この曲はクラリネットに代わってヴァイオリンで演奏されることが多く、原曲の編成の演奏はCDにもあまりなっていないそうで、今回はオリジナルを聴かせていただくことができました。管楽器・弦楽器が揃いピアノが加わるという色彩豊かで華やかな曲に、会場はぐっと引き込まれていました。
圧巻はアンコールのピアソラ作曲「リベルタンゴ」。それまでの正統なクラシックの雰囲気とはガラリと趣を変えて、さらに情熱的なタンゴとジャズの味が加わった演奏の迫力に、会場は陶然とした雰囲気に包まれ、最高潮に達した拍手で幕を閉じました。