第6回Salon de 修猷の報告(平成24年9月22日開催)

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出演: 船木 美佳 (昭和60年卒)
蒲池 恵子 (昭和60年卒)
大神 小百合(昭和60年卒)
有村 純親

平成24年9月22日(土)、秋を感じる涼しい午後に、第6回サロンド修猷が学士会館で開催されました。定員80名の会場に館友や関係者が120名もお集まりいただき、満員御礼の大変ありがたい状況での開催となりました。
ピアノによるウェルカムミュージックではじまり、食事を楽しんでいただきながら第一部へ。

第一部は「名無しの森の中で」と題し、昭和60年卒の船木美佳さんによるお話しに、同じく昭和60年卒の大神小百合さんがピアノ演奏で彩りを深めてくれました。
まずは、絵画の成り立ちから。ラスコー洞窟の壁画から始まり、教会のフレスコ画など当初はそこにある空間全体に描いていたが、時代をくだるにつれて空間の一部分を四角に切り取って、イーゼルに立てて描くようになっていった西洋の絵画。一方東洋では、今でも地面に水平に描いていて、時間や空間をも上から俯瞰している。日本の絵巻物などはその典型である...、といった、大変興味深い話がありました。

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続いて「名無しの森の中で」という主題が語られました。「鏡の国のアリス」のエピソード「名無しの森」に船木さんがヒントを得て、名前がなくなっていく=イメージの世界、名前がはっきりしてくる=現実化する世界と定義し、名前がなくなっている時にはアリスと子鹿はしっかりとお互いを抱き合い、ただ体温やあたたかさだけを感じていたものを、森の出口に近づいてアリスを「人間」と子鹿が認識した途端にその蜜月は潰えて子鹿は逃げ去ってしまい、アリスはその世界を永遠に得られなくなってしまったエピソードでは、仕方がないか、といった程度で終わっています。 しかしながらそれは、イメージを現実化する際に大切なものを切り捨てているのではないか?もっと、イメージ自体を温めて、大切なものを切り捨てずにいることが重要なのではないか?っといった問いかけにつながる、と船木さんは話してくれました。
昨今は、結果をだすためにすぐに具体化することを求める風潮がありますが、そのアンチテーゼともいえます。かのアインシュタインや佐藤可士和氏も言っているように、イメージをすぐに具体化・言語化するのではなく、イメージに遊び、その周囲にあるものを大切にして熟する機会を待つことの大切さ...。見逃しがちなことですが、芸術に限らず、ビジネスやその他の世界にも通じる重要なヒントがあるのではないでしょうか。

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講話の後は、素敵なピアノで話を彩ってくれた大神さんによるラフマニノフのプレリュードop23-6。数々の名画などの映像が流れる中、甘美に流れ過ぎず、どこか懐かしささえ感じるその音色に聞き入りました。 演奏の最後にあわせて映し出されたのは、アメリカのイリノイにある畑の写真。この写真は、大神さんが留学していたときにお世話になった、今は亡き友人の作品です。サロンチームで初めてこの曲を大神さんが演奏するのを聞いた時、そこにいたメンバーは皆、なぜか「アメリカの農場」のイメージがわいたのでした。それを意識して演奏していたわけではないそうですが、不思議なつながりを感じずにはいられない体験で、この演奏を象徴する写真として映し出すことにしたものです。

休憩の後、第二部は昭和60年卒の蒲池恵子さんのピアノと、スペシャルゲスト有村純親さんのサクソフォンのコラボレーション。デュボア、シューマン、ベダード、サン・サーンス、ピアソラ、高松宏樹各氏の作品、全6曲を楽しんでいただきました。
蒲池さんのピアノと響き合う、有村さんのサクソフォンの繊細な音色♪ あれだけの演奏を、間近に聞ける機会はめったにない経験でしょう! 秋の午後にふさわしい、豊潤かつ細やかな、彩りに満ちたハーモニーを楽しみました。
有村さんからは、サクソフォンの成り立ち、なぜジャズでよく使われるようになったのか...(フランスで発明されたが、戦争のために兵器用の金属として供出させられたものの戦争はすぐに終結、倉庫に積まれていたものをアメリカ商人が安く買いたたいて輸入した...etc.)などといった、興味深いお話しもいただきました。

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アンコールは、ポール・マッカートニーの "My Love"。蒲池さんの編曲かと思いきや、お二人がコード進行をベースに即興であわせたのだとか!とてもぜいたくな音楽空間でした。

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ご参加いただいた皆さんは、とても満足されたご様子でした。来年度も9月に、昭和61年卒の幹事で開催予定です。ぜひお誘いあわせの上、ご参加ください。
今回のサロンド修猷をもちまして、私ども昭和60年卒の学年幹事としての行事が全て終了しました。至らない点も多々あったかとは思いますが、執行部の方々をはじめ、多くの館友のみなさまのおかげで、無事にやり遂げることができました。みなさん、ありがとうございます。同期の仲間を代表して、心からお礼申し上げます。

山崎 琢哉(昭和60年卒 猷馬会)