第642回二木会講演会記録

「ラグビーワールドカップ2019開催に向けた現況と展望~日本で世界大会が開催される意義~」

講師:田中啓太氏(平成13年卒)

◆講師紹介

○石蔵 田中君とは3年生の運動会で一緒に大幹を務め、高校時代でも特に思い出深い時間を一緒に過ごしました。当時の彼はラグビー部に所属して、花園出場に夢をかけていたのだと思います。大学は違いましたが、2人とも上京して、一緒に千葉や所沢、明治神宮にホークスの試合を見に行きました。大学卒業後、彼は福岡に戻り、私は東京で就職しましたが、1年半ほど前に、彼がラグビーワールドカップのプロジェクトメンバーに抜擢されて東京に来ることになり、私の最寄り駅の近くに住んでもらいました。それから毎週末、朝は5時に起きて一緒に打ちっ放しに行ったり、夜は11時から銭湯に行ったり、ジムで汗を流したり、毎日のように連絡を取り合い、毎週のように会うという36歳の男同士としては気持ち悪いくらいの関係です。
 そんな彼が今日は大好きな修猷生が集うこのような場で講演をするということで、きちっとした田中君を見るのも楽しみです。

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■田中氏講演

 ラグビーワールドカップ組織委員会チケッティング部の田中です。まずお尋ねしたいのですが、ラグビーのルールを知っていて、試合を観に行くという方はどれくらいいらっしゃいますか?
・・・・少ないですね。(笑)
 もう一つ質問です。ラグビーワールドカップのチケットを既に買ったという方はいらっしゃいますか?
・・・・ありがとうございます。
 ちなみに、日本戦のチケットだという方はいらっしゃいますか?
・・・・それは絶対に手放さないでください。かなりなプラチナチケットになっています。
 この状況を見ても我々は、ラグビーがまだマイナースポーツだと認識しています。その中でこのような機会をいただきましたので、PRの場としても活用させていただき、皆さんに少しでもラグビーを知っていただいて、ワールドカップを是非観に来ていただきたいと思います。同じ時を過ごすのならば2019年は是非ラグビーにどっぷりと漬かって一生に一度の体験をして頂きたいと思います。今回は少しでもそういう方が増えるようにお話しさせて頂ければと思います。

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■ラグビーワールドカップ組織委員会(JR2019)

 私が所属している「公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会」とは何なのかについてご説明します。サッカーではFIFA、オリンピックではIOCという統括団体がありますが、ラグビーはWorld Rugbyという統括団体があります。そこからラグビーワールドカップ(以下RWC)の運営管理を委託されているラグビーワールドカップリミテッドという組織があり、日本ラグビーフットボール協会(以下JRFU)が開催国としての契約を結んでいます。そしてこの大会のために組織委員会(以下OC)を立ち上げて、設備、警備や会場運営、チーム運営、医療など、いろいろなプロが集まっています。これが私の所属しているRWC組織委員会です。私は普段はぴあでチケットを仕入れて売る仕事をしていますが、ぴあが今回OCよりチケッティングサプライヤーとしての業務を受託したことで、組織委員会に出向、ラグビーワールドカップに特化したチケットの仕事をしています。

■チケッティングサプライヤー

 チケッティングサプライヤーとはどのような仕事をするのか?チケットぴあと言えば、利用したことがある方は、サイトにアクセスしてもちっともチケットが取れないなどのクレームもあると思いますが、一般的な業務としてはぴあの販売チャネルに商品を並べ、販売する事が業務の根幹です。ただ、昨今は弊社もある種ソリューション事業を生業としていて、いろいろなスポーツ団体に出向してその団体・チームのチケッティング戦略を練るとかプラットフォームを整えるということを業務の柱の一つとしてやっています。
 そしてRWCでも、チケット販売のプランニング、販売する為のプラットフォームの整備、さらにお客さんにチケットを届け、会場に入場させるというところまでを弊社の責任業務として担っています。今回のゲートでは機械認証を行う予定ですが、我々ぴあは、その入場する最後の所までの仕組みをつくって提供する想定です。これを完遂するために私は組織委員会に出向して日々大会に向けて準備をしています。

■ラグビーとは?

 まずは、ラグビーを知らない方の為にルールからお話しします。トライで5点入ります。トライとはインゴールにボールを運んで地面に着けるプレーです。そして着けた所の延長線上からキックをして、Hの形をしたゴールポストを通すとコンバージョンゴールで2点もらえます。ですから1プレーで最大7点が入ります。もう一つの得点方法は、試合が動いている中で相手が重い反則をした時にはペナルティが宣告されます。その相手が反則した地点からキックを狙うこともできます。そのキックでは3点が入ります。この微妙な点数の差異が最終的に接戦を生みます。そこがラグビーの面白さのひとつです。2015年に日本が南アフリカに勝ちましたが、あれはまさにこの得点方法の差異が生んだドラマでした。3点差だったので、キックを蹴ると同点には持ち込めるのですが、さらに難しいトライを取りにいけば、ハードルは高いけれども見返りも大きく5点以上が入るという状況でした。それを終了間際に狙いにいって見事トライを取り勝利した。その選択が讃えられているのです。
 トライで相手の陣にボールを着けられるのも、ペナルティをおかしてキックを蹴られるのも、どちらも自分の陣地でプレーをし続けている限り得点される可能性が高まります。なので、キックを蹴ったり、ボールを持って走ったりして相手陣でプレーをする時間を長くするというのが基本的なラグビーのセオリーになります。「陣取りゲーム」の要素が大きいスポーツです。それから資料に「人員余剰創出ゲーム」と書いていますが、攻撃の選手が突っ込んだときに1人で止められなかったら、ディフェンスラインの人間は寄って止めにいかないといけません。1人の人間に対して2人、3人と相手を巻き込んでいくとこちら側は人数に余裕が出来る=余っていくことになります。そこにパスを送れば目の前に敵がいなくなっていて抜いていくというのがもう一つのラグビーのセオリーです。ただし、ラグビー経験者の方からの異論は後で受け付けます。(笑)
 そして、ラグビーはよく15人で行う分業制のスポーツで、フォワードとバックスがあるということくらいはお聞きになったことがあるかと思います。フォワードの8人がスクラムを組みます。そしてバックスがそのスクラムなどで生かしてもらったボールをもらってパスを受けて走り抜けるというのが基本的な形です。このようなことをざっくり頭の中に入れて、2019年を楽しんでもらえたらと思っています。
 次に映像を見ていただきます。
(ビデオ放映 【ラグビーワールドカップ】ある少年の反則が伝説になった!ラグビーの起源 YouTube:ラグビーワールドカップ公式チャンネル
 まさにラグビーが生まれた瞬間を見ていただきました。今の映像は、2015年の前回RWCの開会式に使われた映像です。ウェブ・エリスという少年がフットボールの試合中にラグビーボールを持ったところからラグビーが始まったと言われています。そこに敬意を表しRWCのトロフィーはウェブ・エリスカップと言われています。
 ラグビーの精神を表す象徴的な言葉をご紹介します。よく「One for All, All for One」と言います。自分の身を挺してボールを生かして誰かのために働くというチームワークを重視する言葉です。そして、フェアプレーの精神を大事にします。常に正々堂々ベストを尽くし、勝っておごらず、負けて清くということです。そして、ノーサイドの精神を大事にします。ラグビーの試合終了は、「タイムアップ」ではなく、審判が「ノーサイド」と言います。どちらの側も敵味方の関係がなくなったという宣言です。
 私がこの仕事に関わって初めて気づいたことがあります。左の写真は前回のロシアのサッカーワールドカップでのブラジル対フランスのスタンドです。右の写真は2015年のRWCの南アフリカ対日本です。違いが分かりますか?実はこれは私の仕事に非常に関わっているのですが、サッカーでは各国のサポーターの席の位置を大きく分けて販売します。でもRWCは国によって座席の位置を分けることはしません。ですから、自分の隣に敵チームの国のファンが座っているというのが普通の景色です。衝突を避ける意味もあるのだと思いますが、野球でもレフトスタンドとライトスタンドを分けます。それがRWCでは一切行われません。そんなところにもノーサイドの精神が生きているように思います。ラグビーというのはこんなイメージのスポーツだというのが分かっていただければ幸いです。

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■RWC

 それでは次にRWCがどんな大会かをお話しします。4年に1度のラグビー世界一を決める大会です。1987年が第1回目の大会で、他のスポーツに比べると意外に若いです。よく世界三大スポーツイベントの一つだと言われます。諸説ありますが、私たちは「オリンピック・パラリンピック」、「FIFAワールドカップ」、そして「RWC」の3つをそう呼んでいます。
 チケットの販売枚数、動員数の面で見ると夏季オリンピックが圧倒的No.1です。次がサッカーワールドカップです。サッカーは68試合あって、RWCよりも試合数が多いので観客動員数が多くなります。その次にRWCで、その次が冬季オリンピックです。
ラグビーはヨーロッパと南半球が強豪国なのですが、第9回の今回はそれ以外の地域で初めて、この極東の日本で開催されることになりました。これがラグビーの歴史の中では大きなポイントです。
 前回大会では世界209の国と地域でTV放送されましたが、今回は恐らくそれを超えるだろうとされていて、OCのブロードキャストチームもその想定で準備をしています。世界で延べ40億人以上が視聴する大会です。これが数字で測るRWCの規模感です。
 それでは次に日本代表はこれまでどのような戦績をRWCで残してきたか?第8回の2015年イングランド大会前までは1勝しかしていませんでした。イングランド大会では3勝しました。3勝したら普通は決勝トーナメントに通過するのに、勝ち点差で惜しくも決勝トーナメントには進めませんでした。3勝したにもかかわらず決勝トーナメントに進めなかった初めてのチームということで、讃えられました。ワールドランキングはだんだん上がってきていて、今は11位です。
 過去のRWCについてお話ししましたが、いよいよ2019年のお話です。今大会は9月20日から11月2日までの44日間開催されます。サッカーワールドカップより1.5倍長い期間です。ラグビーは試合間の休養を平均5日間ぐらい取るので、おのずと長くなります。試合数は48試合(予選プール40試合・決勝トーナメント8試合)あり、これらが12都市で開催されます。以上の事から私たちはこれを新たなラグビー界の歴史のスタートと考えています。数字ではなく、未踏の地をいろいろ踏んでいくことになるという意味で「グラウンド・ブレイキングな」大会を標語として日々業務に当たっています。
 2017年5月10日に京都の迎賓館で組分け抽選が行われました。

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 この表の一番上がいわゆる最強国たちです。2段目が強豪国、3段目が中堅国という感じでしょうか。ラグビーを知っていらっしゃる方はお分かりだと思いますが、この上位2段のチームと3段目のチームに非常に高い壁があると言われています。決勝トーナメントに進めるのは上位2チームです。日本はプールA、2番目のスコットランドを倒せるかどうかに決勝トーナメント進出が掛かっているというのが大方の予想です。残るは敗者復活戦の勝者が11月24日に決まりますので、それで20カ国が出そろいます。今はそのような段階です。
 次に開催都市ですが北は札幌、南は大分まで12都市で開催されます。最近のニュースなどで岩手県の釜石市の様子をご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。私も何度か視察に行きましたが釜石市のスタジアムは鵜住居小学校の跡地に建てられています。津波によって校舎に車が乗っていた映像を覚えてらっしゃる方もいるかもしれません。そこに建っています。先日、こけら落としが行われたばかりです。さらに皆様がお住まいの関東近郊では神奈川の横浜国際総合競技場、東京スタジアム、熊谷ラグビー場で開催されます。そして我らが福岡は、博多の森球技場(レベルファイブスタジアム)です。
 日本の初戦は9月20日の開幕戦です。19:45キックオフで日本対ロシアが東京スタジアムで行われます。先ほどお話しした決勝トーナメント進出の大一番日本対スコットランドが予選プールの最終戦で、10月13日19:45横浜国際総合競技場で行われます。決勝戦は11月2日で、これも横浜です。右下の写真が前回の決勝戦です。トゥイッケナム・スタジアムというのはラグビー専用の球技場で、来週末、日本がイングランンドと試合をします。私も行ってきます。8万人入るのですが、もちろんこの試合は完売しています。想像を絶しますね。
 会場以外にも公認キャンプ地というのが決まっています。この公認キャンプ地に各国試合をしながら滞在し、転戦していきます。
 経済効果について、2015年のイングランド大会で4,100億円と算出されています。今回はそれを上回るだろうと試算されています。訪日外国人は40万人と言われていますが、これは現状のチケット購入データから見てもほぼ確実だろうとされています。ですからこの国に44日間で40万人の外国人が来ます。特に関東には集中的に滞在する事になります。
 この観点で今、開催都市や自治体の皆さんも、次の四つを大きな指標として準備に取り組んでいただいています。まずは「知名度の向上、外国人旅行者の増加」。外国人旅行者の増加で経済効果の最大化を計画されています。「国際都市としてのブランド力UP」。RWCを開催した都市というのは大きな発信力となり、今後も名前として残っていくと考えられています。同時に「スポーツ振興都市としての発展」。RWCをやったスタジアムやキャンプ地として使用した施設というのは、その後もいろいろなスポーツを誘致するのにも役立つそうです。「地域住民、地域経済の活性化」。これは来訪した観戦者の経済活動ももちろんのこと、大会には大人数の現地のボランティアの方にも参加いただきます。こちらも自治体にとってはいい影響があると捉えて活動いただいています。

■RWC―国際大会のレガシー

 RWCが終わったらどのようなものが残るのか?私が思う大きな3つをお話しします。1つ目は、やはり競技人口の増加です。この大会を観て、身近に感じて、感動してラグビーをやりたいと思ってもらう。まずはこれに尽きます。JRFUもこの点に注力されていて、初めてラグビーボールに触れる仕掛けを実行中です。今、日本のラグビー人口は10万人くらいと言われています。これは、RWCに出場する20カ国の中で11番目です。ですが、実は人口における割合で見るとほぼ最下位です。そのような国でRWCをやるという事もグラウンド・ブレイキングな大会と言えます。
 私たちチケッティング部に限って言えば、競技者はもちろんのこと、今大会で得られた様々な分析データをラグビー界やスポーツ界に残す事も大きな役割の一つだと考えています。その点も日ごろからプランニングしてチケット販売を行っています。
 2つ目はスタジアムの環境整備です。釜石にスタジアムが新設されました。実はまだ50%程度でこの後10,000席の仮設席が建設されます。その他に大改修しているのが、熊谷スタジアムです。それから、横浜・花園・福岡も全席が入れ替わっています。それ以外にも、ほぼ全てのスタジアムで何らか改修がされています。ロッカールームも高い基準の要件を揃えるように整備され、照明も輝度が高く、柔軟性のあるLEDに変わって行っています。多くのお客様やメディアが使用できるようにするWi-Fi環境なども整備されています。RWCの基準を満たす為に自治体の協力で様々な改修が行われています。今大会を起因にRWCを基準としたハイクラスな設備の増加によってより高度な環境が創出されれば今後国際大会の機会も増えると思われます。それも大きなレガシーのひとつです。
 そして最後に、「国際大会の経験を持った人材の創出」です。私はこれが一番大きいと思っています。この写真はOCのメンバーと、右側はアレックスという私のパートナーで、チケッティングのコンサルタントです。彼は2015年大会のOCチケッティング部のメンバーです。ロンドンのオリンピックスタジアムに常駐して、そこをホームにしているプレミアムリーグのチームのチケッティングもやっています。彼はロンドンオリンピックも経験しています。そのように、今私たちと共に働いている海外の同僚は色々な大会を渡り歩いていて経験豊かです。ですから、今回の日本のワールドカップで会ったら、その後2020年の東京オリンピックで会ったりするという感じです。そして次のRWCはパリですので、フランスでもまた会うと。フリーランスなのです。
 私は、日本でチケットマンがフリーランスで働いているなんて聞いたことがありません。国の社会体制やスポーツビジネスの状況などもちろん違いがありますが、日本で国際大会をやる場合、まさに私のように基本的には専門家は会社に属していてそこから集まって時限的な組織を作り運営されています。この点は非効率な構造になっていると個人的には思います。RWCの組織委員会では2002年のサッカーワールドカップに携わった皆様が多くいらっしゃいます。私の上司もそうです。その人たちが今、上層部としていらっしゃいます。こう見ても国際大会をやる上で日本でも各専門家がいろいろな大会を渡り歩いて、次の大会の為の経験豊かな専門家が創出されないと世界基準になっていかないと感じます。

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■RWC-国際大会への課題

 課題は3つだと思います。まずは「契約と収入」です。ニュースでもよく取沙汰されていますが、契約は本当に大切です。オリンピックやサッカーのワールドカップは、組織委員会に複数の収入があるので、それを基にしていろいろなものを運営していくという目線があります。我々の収入はチケットのみなので、かなり大変です。マーケティングの観点で言うとチケットを3億円売るためにいくらの広告費を出せばいいのかというのを、莫大な経費を含めて判断していかないといけないので、なかなか大変です。
 2つ目は「運営体制(競技運営、交通輸送など)の整備」です。サッカーワールドカップは、その1年前に各大陸の勝者が集まるコンフェデレーションズカップがあります。要は1年前にプレ大会をやって、そこでいろいろなトライ&エラーをして本番に臨めるようです。RWCについては、事前に全スタジアムにて同規模の試合を行うという機会がありません。いろいろな想定をして解決方法を策定して行かなければいけない難しさがあります。
 3つ目は「文化の相違」です。組織内にもお客様にもたくさんの海外の方がいます。何をやるにしても基本的に言語は英語です。コミュニケーションの問題があります。チケット販売の仕組みを作るのにも文化や感覚のギャップを埋めるのには苦労をしています。私もペラペラではありませんので、チケッティングのプロで英語を話せる人がいたらこの大会ももっと効率的にできるなーと日々思っています。
 そして自分への戒めも含めてですが、一番大きな課題はチケットが完売できるかということです。
 そして今日、お手元にRWCのピンバッジと福岡県のバッチがあると思うのですが、福岡県より「修猷館高校の皆さんで是非盛り上がりをつくってください」と缶バッチをいただきました。それをどこかに付けて明日から皆さんで告知していただければと思います。
 最後に、毎日思っていることがあります。私たちは今、時限組織にいてそれぞれの役割を負っています。往々にしてそういう場合、お互いの業務の線引きや、拾い方などなかなか難しくなります。そんな中でも自分で言うのもなんですが横断的に業務を遂行していると思っています。
 そんな時この感覚と状況は昔から知っているなと思うのです。修猷館の大運動会です。それぞれの担当の上に委員長がいて、それぞれの競技で自分たちの役割を全うしなければならないのですが、横で大変な部署があれば、それを進んで助けながら大きな1つのものをつくっていくという素晴らしい世界です。修猷大運動会は非常に洗練された時限組織として、どう物事を遂行するかという組織論を学べる場だったなと思います。私たちOBは少しでもこの文化が残るような手助けができたらいいなと思います。まずは東京修猷会の会費を払うことでしょうか?
 RWCのチケットの申し込みは11月12日までです。是非よろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。

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■質疑応答

〇井手 私たち49年卒は毎年遠足をやっていて、2019年はRWCを観に行こうと思っています。手分けして申し込んだのですが、まだ6枚しか確保できていません。どうやったら当たるのでしょうか?それから、1月以降の先着順の発売で何とか手に入れることができるのでしょうか?

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〇田中 抽選は全く平等に行っています。実は我々の組織のトップも抽選で外れています。ご質問の答えとしては「お祈りください」しかありません。(笑)
 そうは言っても、一番の対策は常に情報を見ていただくことだと思います。この後は先着順販売が始まります。都度チケットが販売されるタイミングを迎えますので、それを逃さないことだと思います。そして最後には、行けない人たちの公式の定価再販サービスとしてリセールサービスを行います。そういうところも含めて、情報を小まめにチェックいただくことだと思います。裏ルートはありません。

〇安川 私もずっとラグビーをやっていますが、いろいろな所の連携ができていないと思います。あなたたちがチケッティングをしている中で、本当に協会との連携はできているのでしょうか?私は1980年から協会のツアーコミッティをしばらくやりましたが、みんなボランティアでした。協同して戦線を組まないとうまくいかないと思いますがいかがでしょうか?

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〇田中 おっしゃるように、この後、色々な面で連携を強化していく事がポイントだと思います。自分で言うのも何ですが、組織委員会には会社を辞めて覚悟を持って来ている優秀な人材が揃っていて、私たちは私たちで組織として一生懸命やっていると思っています。
 他のスポーツでも仕事をさせていただいた経験から言うと確かに他協会では業務や体制の面でもう少し洗練された部分が確かにあります。今大会でそこを少しでも築きあげられればと思っています。
そして我々としては先ほども話しましたがラグビー界に何が残せるかも1つの答えになると思ってやっています。チケット部としては、チケットを完売することがJRFUへの最高の協同になるということ、そのデータを今後生かせるような道筋をつくることの2つが大きな役割だと思っています。

〇原 今大会は、チケット収入だけというこということでしたが、それは今回日本だからそうなのか、もともとRWCというのがそうなっているのでしょうか?

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〇田中 毎回若干の違いがあるようですが、基本的にはそのようです。そして今回は、支出が前回大会の倍ぐらいになると想定されています。これまではずっとラグビー先進国で開催されていて、前回大会のイングランドでは特にラグビーの大会をやるベースがそもそも出来ていて、あとはいつもより試合の期間が長く試合回数が多い大会をやるという状況だったと思います。それが今回は1からいろいろなものをつくり上げたり、改修したりしなければならない状況かの違いがあるように感じます。収入は一緒なのですが、支出が違ってきているという非常に厳しい状況です。そのあたりはサッカーやオリンピックと比べるとRWC全体の課題かもしれません。

■会長あいさつ

〇伊藤 RWCの翌年にオリンピックがありますが、マスコミの関心も含めて、RWCについては、いろいろな面で遅れがあるように感じていて、本当に大丈夫かなと思っています。私自身も東京オリンピック関連で、特にセキュリティを中心に見ていますが、いろいろな問題があります。RWCについては、まだあまりみんなの話題にもなっていないということもあり、そして地方都市でも行われますが、交通対策なども何となく済むのではないかと思っていらっしゃる方もいるようで、非常に厳しいものがあるように聞いています。
 チケットの問題というのは他の問題も関連してくるのだろうと思います。他の方から聞くところによると、今大会は色々な制約もあって、本当にご苦労されながらお仕事をされているのだろうと思います。
 私はラグビー組織委員会の方から、「田中さんはとてもいい人ですよ。さすが修猷館ですね」と言われていて、非常に誇り高く思っていました。今日初めてお会いしたのですが、「この人が噂の田中さんか」と思いました。これからも1年間いい仕事をやっていただいて、無事にRWC日本大会が成功することを心から願っています。大変だと思いますがこれからの健闘をお祈りします。今日はありがとうございました。

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平成13年卒の皆さま

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(終了)