「日本の政治をどう読むか」平成20年3月13日(木)
参加人数:87名
山本 周(昭和49年卒)
略歴:
昭和31年2月 名古屋市生まれ
昭和49年3月 修猷館高校 卒業
昭和55年3月
早稲田大学政治経済学部 卒業
昭和55年4月 (株)フジテレビジョン 入社 報道局配属
昭和56年7月 官邸クラブ担当(鈴木善幸内閣)
平成16年1月 ニュースジャパン編集長
平成18年7月 報道局 政治部長
平成19年7月 取材センター室長を兼任
講演内容
1. 最近の首相評
(1)小泉、安部、福田氏
・3人とも元々同じ派閥(清和会)出身
小泉:日本の閉塞感を打ち破る「自民党をぶっこわす」
国民の支持をバックに政治を行う
抵抗勢力を作ることによって自分の政策を貫徹する
政局(=権力闘争)が大好き
中曽根氏以来、円満に任期満了
「おともだち」内閣:塩崎官房長官(官房長官としては若すぎる)が象徴的
だが小泉内閣の官房長官であるので、改革路線派からも容認される
総務会長タイプで、勝負師ではない(ガマンする性格)
「腹心」と考えられる者もいない
あくまでも「つなぎ」として登場→「来年までやればいいのでは?」という声も
松下幸之助が挙げる成功者の3つのタイプ:
1.かわいげがある人
2.運が強そうな人
3.何を考えているのかが気になる人
↓
・小泉:3つともあてはまる
・福田:「かわいげ」がない
(2)福田内閣の命運
・福田首相にはサミットの成功しか頭の中にない、という意見も→サミット後は不透明
・サミット花道論の可能性も(福田氏では選挙に勝てない、という評)
2. 首相後任は?
(1)麻生:
「究極のお坊ちゃま」。「華やかさ(オーラ)」。人気もある
→福田氏に退陣してもらい、麻生氏で総選挙というシナリオも
・ただし「仲間」が「右より」 平沼、中川、安部氏に近い→党内でどこまで指示を広げられるかが問題
・話にやや深みがない しかし最近は、「変化」をキーワードに意欲的
(2)小泉:
最近再始動中
・道路財源の一般財源化を目指す
・小泉氏に批判的な麻生政権は避けたい
・しかし福田氏には近いので、福田氏の害になる言動はしない
古賀、武部氏等との食事会で解散・選挙はサミット後という発言
(3)小沢:
・大連立失敗後、求心力が急速に衰える
党内では小沢支持の声。しかし本当に支持する者は少ない
小沢氏が自民党に移ることを怖れてのこと
・菅、鳩山氏は面従背反状態
自民党からすれば、民主党の誰が中心的なのかが読めないというのが現状(日銀総裁問題が典型的)
・「春に解散・総選挙」と言っているが、その動きはない
民主党内に緊張感がない
3. 政局と展望
(1)見えない先行き
1)福田氏の不透明と小沢氏の求心力のなさ
2)衆参の「ねじれ」に対する無策
・「ねじれ」にどう対処すべきか、という方針が与野両党に見えない3)大連立が不成立
・国民を「裏切る」ことへの躊躇
・小沢氏の求心力のなさと福田氏の無策
・小選挙区というしばり:どちらかの党の候補者しか当選できない
(2)今後の展望
1)連立政権:自民・民主のどちらから新党が生まれ、それが自民か民主と連立
・ただしその前提である小選挙区制の廃止が可能か
・「無鉄砲」な政治家が現れにくい
(3)総選挙はいつあるのか:4つのパターン
・現状では民主党有利であり、自民党はなるべく総選挙を引き延ばしたい。解散権は自民党が握っている1.9/10月:基礎年金の国庫負担率引き上げの財源としての消費税引き上げ論が出る前
2.アメリカ大統領選挙後:新しい大統領が決まったら
3.来年1/2月:来年度予算を「福田カラー」で決めてから
4.福田氏の任期満了頃:来年7月の都議会選挙前か
4. 政治の今後
・よくわからない:自民党も民主党も「へそ」がない
誰が中心となって、誰を相手に政策を打ち出せばよいのかわからない
例1)日銀総裁人事
小沢氏以外の民主党主要メンバーも同意する人事である必要
民主党側では、先鋭に自民党案に対決する姿勢もない
例2)ガソリン税
自民党内にも多様な案
民主党側にはガソリン価格25円引き下げを前面に打ち出している以上、妥協しない
・永田町の状況は「猫の目」というのが現状であり、「お先真っ暗」