「Dr.マジックの 『笑って健康大作戦!』」
笑いの健康法(医)師 医学博士
医療法人 三喜会 理事長   伊藤 実喜
2005年4月14日(木) 学士会館


― 神秘的な音楽と共に現れた伊藤先生。
紙で作られた蝶々をあたかも
生きているかのごとく動かし、
場内を周りながら数人に手渡していく。
不思議な雰囲気を醸しだした所で
舞台に上がり、ヒモ・花・玉・輪などの
道具を用いたマジックを披露。
場内を沸かせる。 ―


☆  ゛笑いへの挑戦”
 大学病院などでは、先生方が大名行列のように歩いていて、患者は緊張し、正座などをして待っています。そんな時、一言でもジョークを言って笑わせ緊張をほぐすことができたら、とわたしは考えていました。健康な人間は、肉体的、精神的に疲れると、呑みにいくとかパチンコをしに行くなどの娯楽があります。しかし、体や心が弱り大学病院に救いを求めている患者たちには、それに代わって心を癒してくれるものはないでしょう。これでは、果たして大学病院は十分に機能しているといえるでしょうか?そのような疑問から、私の医療現場での笑いへの挑戦が始まったのです。

☆ ゛健康であること”とは?  − 免疫のちから −
 みなさんは健康かどうかを確認する方法として、血液や血圧、尿検査などをしますね。これらは大丈夫。では、健康である証拠は、と問われると実は医者はなかなか答えられません。  そこで、免疫細胞の話をします。みなさんの年代だと一日に約3000個のがん細胞ができています。私たちの身体の中では毎日約60兆の細胞ができる、つまり細胞分裂をしているのです。わかりやすく言うと、細胞分裂とはコピーをしているようなものですが、そのうち3000枚から4000枚のミスコピーができるんですね。少し色が褪せていたり、二重に印刷されていたり、しわができていたり。そのミスコピーががん細胞だと言われています。それでは、がんになる人とならない人の差はどこにあるでしょうか。それは、正に免疫力がどれだけ頑張ったか、どれだけがん細胞を食べてくれるか、にかかってくるわけです。

☆ 免疫細胞を元気にしよう!  − 赤のちから −
 免疫細胞を元気にするには、赤の色素を含む食品を摂ることが効果的とされています。
例えばトマト、にんじん、キムチ、クコの実や梅干、赤ワインなどです。
 また、赤い物を身に付けるのもよろしい。特に弱っているところに赤を用いると効果的です。 還暦を迎えた人は頭に赤い帽子を被りますね。つまり弱っているから、物忘れが始まったら赤を頭に乗せるとよいのです。(笑)
 お化粧もいいですね。だから女性は男性より長生きなのです。おしゃれな人はとても長生きというデータがでています。

☆ 白血球の役目   − 好中球とリンパ球 −
 血液中に含まれる血球には、酸素や栄養を運ぶ赤血球、出血を止める血小板、そして白血球があります。この白血球が身体を守っているわけです。これには二つの種類があります。ひとつは外から入ってきた細菌やウィルスを攻撃する好中球。もうひとつは身体の内部で勝手に増殖を始めたがん細胞を攻撃する、リンパ球です。このリンパ球のおかげでがんになりにくのです。
 この好中球とリンパ球の一生の内での数的分布は逆になります。好中球は最初は多く、年とともに減少しある年代になるとまた増えてきます。リンパ球は最初は少なく、徐々に増えていきある年代から減少していきます。そして、この好中球とリンパ球が逆転する時期が、ちょうど還暦を迎える60歳くらいと言われています。リンパ球は減少しても、細菌やウィルスを食べる好中球が増えるのならばいいのではないかと思うでしょうが、ここにひとつ問題があります。
 ゛あるもの”が原因で好中球が狂いだし、正常細胞を傷つけ、がん化させてしまうのです。つまりがんになりやすい身体を作ってしまうということです。この゛あるもの”とは近頃メディアでも話題になる『活性酸素』です。活性酸素が白血球中に溜まっていくと、これが正常細胞を攻撃してがん細胞を作っていく。これを「酸化作用」といいます。わかりやすく言うと、さびついていくということです。だから、この年代は大変重要で、がんになる人が3倍に増えてくるのです。

☆ 自律神経の仕事   − ストレスとリラックス −
 私たちの神経は「自律神経」によりコントロールされています。これには交感神経と副交感神経というのがあります。交感神経とは、ちょうど昼間の状態、仕事などをしている時のストレス状態です。副交感神経とは逆にリラックス状態です。
 実は、これと好中球、リンパ球の相関関係がわかりました。ストレスは好中球に強く影響を及ぼすのです。前述の年代になって、高いストレスを持つ生活をおくっていると、好中球が元気になり、正常細胞にキズをつけだします。一方、リラックス状態はリンパ球と関係します。  この年代の人が免疫機構を正常に働かせるためには、人生の中にリラクゼーションを積極的に取り入れることが、重要なキーポイントになるのです。

☆ ゛唾液”でわかるあなたの健康度
 白血球が酸性になっているかどうか、あなたの身体が今どんな状態かということを、数値として確認することができます。「唾液」で調べるのです。エイズ感染もピロリ菌感染も唾液でわかります。活性酸素が細胞に入っているかどうかがチェックできます。
 糖尿病や高血圧の人を唾液検査で調べると、必ず酸性度が高いです。酸化が強いということは、活性酸素を含んだ細胞が多いということです。逆を還元といい、これは身体がすごく元気であるということです。わたしは今臨床実験をしていますが、糖尿病の人はこれが100(ミリボルト)くらいの値を示します。健康な人は0から40くらいです。とてもリラックスして楽しく健康にすごしている人はマイナスの値を示します。リラクゼーションの時間をきちんととり楽しむ時間を増やすことは,とても大事なことなのです。

☆ 『笑い』の重要性   ― 赤ちゃんに見る『笑い』の遺伝子のちから ―
 人間はどのような形で『笑い』を培ってきたのでしょうか。
 生まれてきた人間のDNAの一番最初のところに、このような遺伝子があります。
     「生まれたら、とにかく笑っておけばなんとかなる」
 生まれる前8ヶ月くらいからエコーで調べてみると、赤ちゃんがなんと母体の中で笑う練習をしているんですね。
 生まれて最初は泣きますが、その後笑う。エンジェルスマイルです。お母さんはその子をみて、全ての世話をしてくれる。
 お父さんはこの子のために仕事をしばければと思う。おじいちゃん、おばあちゃんは、孫が可愛いと思う。赤ちゃんは「笑っていればみんなから可愛がってもらえる」と思います。
 はいはいから立ち上がる8ヶ月〜10ヶ月頃、人見知りが始まります。
 その時こんな実験をします。普段はお母さんが笑うと赤ちゃんも笑いますが、これをミラー現象といいます。
 ところで、この時お母さんに赤ちゃんが笑っても恐い顔をするようにお願いします。
 赤ちゃんはどのように反応すると思いますか。
 赤ちゃんはもっと素敵な笑いを発するように努力するのです。
 「おかあさんお願いだからそんな顔しないで、どうかボクの素敵な笑顔に答えて。ボクの顔を見て」と、
 もっと素敵な笑顔をお母さんに発するのです。そしてその願いが通じなくなった時に泣くんですね。
 笑いでその時の状況を何とかしようとする本能が働いているわけです。
 自分から笑っておけばなんとかなるという遺伝子があり、環境を変えていこうと努力するようになっている。これが、われわれのすごさです。
 「笑い」がなくなった時の現実はどうでしょう。虐待があり、いじめがあり、戦争がある。笑いがないと人間はなんと悲惨なテロリストになるのでしょうか。笑いがあるからこそ、人間的な生活ができるし、人とのコミュニケーションもとれるし、仲良くなれるんですね。
 笑っていれば、とにかくなんとかなるので、みなさんこれからは楽しまなければならない、ということです。そして「笑い」は免疫力を高めるものすごい力を持っているのです。
 そこで、今日はみなさんでこのことを実践して頂きたいと思います。

― 新聞紙のツリーの製作。
作り上げた後、全員ツリーの
帽子を頭にかぶり、笑いに
満ちたひとときを過ごし閉会。 ―
 









<付 記>
  『あなたの健康チェック70』 
より抜粋(答えは自分でだしましょう)
1)笑いを売っていますか(笑売繁盛)       
2) 禁煙して笑顔を大切にしていますか?      
3) 涙を流していますか?                
4) ドキドキしていますか?               
5) 感動していますか?                 
6) 寂しい思いをしていますか?            
7) 感謝していますか?                  
8) 毎日、充実して楽しいですか?
9) 自分のものさしを持っていますか?
10)プラス思考していますか?
11)幸せな瞬間を知っていますか?
12)元気貯金していますか?
13)恋をしていますか?
14)言葉でつたえていますか?
15)耳を傾けていますか?
16)一緒に生きたい人はだれですか ?
17)趣味はなんですか ?
18)目標はありますか ?
19)使命はなんですか ?
20)スペシャリストですか ?
21)冒険していますか?
22)自分にご褒美をあげていますか?
23)価値観を持っていますか?
24)世界に目を向けていますか?
25)愛する人は誰ですか?
26)嫌いな人はいますか?
27)心が疲れていませんか?
28)本当の勉強をしていますか?
29)しっかり遊んでいますか?
30)自分の顔をみていますか?


●新入会員歓迎懇親会 伊藤先生の講演のあと新入会員懇親会が開催され、ここでもDr.Magicのパフォーマンスを楽しみました。 また、福岡市から山崎市長(S35年)も駆けつけていただき、福岡西方沖地震のその後の状況をご説明いただきました。
講演会後の新入会員歓迎会で挨拶する藤吉会長

パフォーマンスに協力する館友の皆さん

パフォーマンスに協力する渡辺幹事長

挨拶と福岡西方沖地震を説明する山崎広太郎福岡市長

登壇するH17年卒の新入会員


「Dr.Magicは笑いの伝道師」

この季節は三寒四温で暖かくなるといわれるものの、今年は大雪の後に小春日和という寒と温の温度差がかなり激しいようです。皆さん風邪はひいてませんか。
 さて、4月の二木会は、伊藤医院院長でいらっしゃいます伊藤実喜みよしさん(昭和45年卒業)を講師にお迎えし、「Dr.Magicは笑いの伝道師」をテーマにお話いただきます。
 笑いを通じて自然治癒力・免疫力を高め、生き生きと暮らすことを目指しています。これをマジックを通じて実践されています。伊藤先生は93年にカナダで開催された第60回環太平洋奇術世界大会にアマチュア部門の日本代表として参加し、見事に優勝に輝いたという実力の持ち主です。
 今回は、伊藤先生から皆さんへ簡単なマジックの手ほどきもあります。マジックを通じて笑いの効用を理解することで、館友の皆さんもこれから生き生きと暮らしていきましょう。
 たくさんの館友の皆様にご列席いただけますよう、心よりお待ちしております。
 尚、出席のご返事は4月8日(金)必着でお願いします

東京修猷会 会 長 藤吉敏生(S26年卒)
幹事長 渡辺俊介(S38年卒)

1.テーマ Dr.Magicは笑いの伝道師
2.講師 伊藤 実喜 氏 (昭和45年卒)
伊藤医院院長。人呼んで“Dr.Magic”。
3.日時 2005年4月14日(木)
午後6時〜講演、午後7時〜新入会員歓迎パーティー
※今回は通常と逆で、講演が最初。パーティーは別の部屋で開催します
4.場所 学士会館
 千代田区神田錦町 3-28
電話 03-3292-5931
地下鉄東西線
 「竹橋」下車5分
半蔵門線・新宿線・三田線
 「神保町」下車3分
5.会費 3,500円(70歳以上および学生の方は2,000円)
*今回は“講演のみ”“パーティーのみ”の会費区別はありません。
平成17年3月修猷館卒業生はご招待します。