第493回二木会

21世紀の新生日本と修猷同窓生

 

講 師:山崎 拓 氏 (昭和30年卒)
    衆議院議員  自由民主党 幹事長  

 

                

 


日 時:2002年4月11日(木) 午後6時から 講演
                    7時から 懇親会

場 所:学士会館

 

新同窓生の歓迎会を兼ねた4月の二木会には、公務多忙な中、自由民主党幹事長の山崎拓様にご講演を頂きました。懇親会にもご参加いただきました。

170名以上の館友の皆様にご参加いただき、非常に盛況でした。

新同窓生も、5人が参加。その後の懇親会では元気な挨拶をやってもらいました。
 

 

<講演録>

       偉大なる先輩・緒方竹虎副総理 

私は昭和30年に修猷館を卒業致しましたが、その30年の5月に緒方竹虎先生が御来校されまして講演をなさいました。その時の先生の講話がプリントされ関係者に配布されましたが、それを最近また見てみますと、先生は戦後まだ10年、憲法制定後まだ8年という時代に、自主憲法の制定を説いていらっしゃいます。

サンフランシスコ講和条約で独立を回復したとはいいながら、占領憲法、押しつけ憲法の下では国民の真の独立の精神というものは涵養されない、とお話しになりました。

そして、翌31年1月に急逝なさいましたが、私は真先に焼香に駆けつけました。その折に伺った緒方邸の質素さというのも瞼に焼き付いております。

昭和30年というのはいわゆる55年体制がスタートした年で、当初は鳩山政権でありましたが、次は緒方先生が総理になられるという衆目の取り決めがございまして、戦前の広田弘毅先生に続き、戦後最初の修猷館出身の宰相が誕生するものと思われておりましたが、急逝なされまして、当時青二才の私ですら本当に残念でした。

これからも、大先達の名誉を汚さないように身を引き締めて、政治生活を送りたいと思う所存でございます。 

 

       YKK結成

  私は修猷館同窓生のおかげで連続10回の当選をさせて頂くことができました。修猷館は政治志向の強い学校で中選挙区時代、定員5人の選挙区に修猷館出身者だけで7人も立候補したことがございました。

  そのようななかで、昭和47年12月に初当選を果たしました。この時の同期に小泉現総理と加藤紘一君がおります。

  10年位前(1990年頃)自民党が非常に強く、そのなかでも金丸・竹下・小沢体制が政界を牛耳っておりました。とりわけ金丸氏は社会党をも巻き込んで、我々に言わせると、政界を壟断している状況でした。これに対抗するには安倍晋太郎派の小泉氏と宮沢派の加藤氏、渡辺美智雄派の私が、(それぞれの事務総長になっていましたので)当時の体制を倒そうと結束したものでございます。 そういう時からずっと一緒にやってまいりました。
 

       清廉の士・小泉純一郎

   「国もかえる・社会もかえる・党もかえる」と唱える小泉純一郎政権もまもなく1年となりますが、5年程前YKKで会食していた際、小泉現総理が突然、制度化されていた国会議員25年永年勤続表彰を返上しようと言ってきました。その理由を問うと、国債発行残高が300兆円に達した、この財政の危機にあたって国家の要職にある我々はもって範を示すべきだ ―  と。こうして車代と称して支給される月々30万円の権利を含めたこの表彰制度の権利放棄を致しました。5年後この制度自体が無くなりました。その先鞭つけましたのが小泉現総理です。

  これは一例ではありますが今日において、彼の熱意・誠実さ、そして政治に賭ける純粋なパッションを私は評価しております。小泉総理を日本株式会社の社長と称した場合、私は専務取締役として、徹底して支えていこうと思っております。

  

       明治維新から失われた10年まで

   その国家の経営という見地からこの20世紀を振りかえってみますと、明治維新より先進諸国を目標に富国強兵策をもって国力の培養にあたり、拡大策を採ってきた日本株式会社は、1945年8月15日に倒産致しました。そこで強兵策を棄て富国一辺倒、つまり経済大国を目指すということを国是と致しまして、一旦、成功を収めました。

 1990年にこの成功がピークに達しましたが、バブル経済がはじけ、ついに伸び率ゼロという時代を経験致しました。この間、公共事業でデフレギャップを埋めるというようなことや、総合経済対策というのを立てまして、一時的に景気が浮揚することがございましても、そのカンフル注射が切れるとまたドンと落ちる、ということを繰り返しました。そしてついに国と地方を合わせて、666兆円の長期債務残高、大借金を国全体で負うことになった過程が、この失われた10年でございます。


 
       構造改革 − 日本の再生と発展

 肝心の構造改革について申しますと「聖域なき構造改革」という言葉にありますように、あらゆる分野で今までのシステムを変えるということです。

  行政改革の分野でいえば、特殊法人等の廃止、民営化、独立行政法人化といった青写真も描いておりますし、或いは金融システム構造改革、不良債権の処理といったもの、 又は経済構造改革、社会保障構造改革も潜行しております。医療、教育あらゆるシステムを全部やり直そうということです。

  小泉総理は変化というものを非常に評価しています。進化論のダーウィンの言葉のなかに、この世に生き残るものは最も頭のいい奴ではなく、最も生命力に富んだたくましい奴でもなく、変化に対応し得るものである、というのがありますが、彼はそれを地でいくようなところがありまして、全部変えてみようということに挑戦しております。

  20世紀、一旦、日本株式会社は倒産し、再建致しまして大成功を収めて、それから突然社運が傾いて坂道を転がるようにこの10年間やってきたという状況下で21世紀を迎えました。少子高齢化、さらなる国際化も容赦無く進んでいきます。活力も失せてきています。

  あのバートランド=ラッセルは − vitality(活力)・intelligence(知性)・courage(勇気)・sensibility(感受性)の4つのものを兼ね備えた国民で構成された国家が一流の国家である、しかしこの中でこれだけは無くてはならないのは vitality である −と、喝破しています。

  活力無き国家は滅びるのです。その活力を生み出していく為に、無駄の無いスリムなシステムを作る − これが構造改革です。小泉総理は集中改革期間を2〜3年与えて欲しいと言い続けています。1年を経た今は青写真を描き、プログラムを作ったという段階です。あと3年やらせて頂くと構造改革が進むのではないかとみております。

 

       おわりに

  小泉政権は党内の議員の勢力によって支えられた政権ではなく、国民の支持によって支えられた政権です。この支持率も当初の80%からしますと半減していますが、ここが踏ん張りどころです。

  私は構造改革を、この2〜3年かけてあらゆる分野において成功させ、その後緒方先生が遺言として残されました憲法改正を、実現したいと思っております。
 この大作業をやり遂げて政界を去りたいと、そして修猷館同窓会に通いたいなと、思っている次第です。

                                   以上

 

 

           
   

 

    
 

        

 

                                      更新日:02/05/17

第493回二木会のお知らせ

  21世紀の新生日本と修猷同窓生

 
春寒しだいに緩むころ、館友の皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
 桜の季節までもう少しです。新しい年度の大いなる飛躍に向けて、ますますのご活躍を祈念しております。

  さて、4月の二木会は恒例の新しい同窓生の歓迎会を兼ねた会となっております。

 そして、新しい年度の最初の二木会の講師としては、自由民主党幹事長としてご活躍されておられる衆議院議員の山崎拓様をお迎えします。公務多忙の中、館友の皆様と今後の日本を語り合うためにお時間を割いて頂きました。

 歴史的な変革期の中で日本の抜本的な再生が求められている今、我が国の進むべき道とは何なのか、そして我々は何をすべきなのか。いよいよ正念場を迎えた
構造改革の展望とともに、新しい門出を迎えられた若き修猷館同窓生への期待についてもご講演頂く予定です。

 多くの館友の皆様のご参加をお待ちしています。

 また、新同窓生の多数の参加を期待しています。新年度に上京して新大学生となられる若い修猷生の方等をご存じでしたら、ご連絡ご紹介をお願い出来れば幸いです。

 出席のご返事は4月8日必着でお願いします。

 歓迎会の関係で、先に講演を6時から行います。ご注意下さい

                        東京修猷会 会 長 藤吉 敏生(S26)
                                幹事長 渡辺 俊介(S38)

                  記

1.テーマ:21世紀の新生日本と修猷同窓生

2.講 師:山崎 拓 氏 (昭和30年卒)
      衆議院議員  自由民主党 幹事長  

3.日 時:2002年4月11日(木) 午後6時から 講演
                        7時から 懇親会

4.場 所:学士会館 千代田区神田錦町3-28
           電話 03-3292-5931
      地下鉄東西線      「竹 橋」下車5分
      半蔵門線・新宿線・三田線「神保町」下車3分

5.会 費:3,000円
       学生及び70歳以上の方は1,500円