第468回修猷二木会

日時 平成11年7月8日
講師 栗秋 正寿(平成3年卒 登山家)
テーマ 「マッキンリー・フォレイカー登頂とアラスカ感動の旅」


内容要約
私の体格は、熊のような山男と随分イメージが違うので、今まで講演会で講師
と思われなかったことが何度かあった。
日本を出発して、アンカレッジから更に奥地へ、飛行機をチャーターしてベー
スキャンプまでは、様々な手段や人手を借りて荷物を運んだが、ベースキャン
プからは一人だけで全てをやるのが単独の条件だったので、第八キャンプまで
は一人で荷物を二回に分けて登った。従ってマッキンレーに二度登ったような
もの。
キャンプで夕方を迎え、零下30度の雪洞から見た夕焼けは格別に美しく、
ハーモニカで曲を作った。
最終の第八キャンプから頂上を目指す朝、頂上に雲がかかり始めていた。冷静
に登るか引返すか考えたが、体力的にも問題なかったので頂上を目指した。
頂上に到達した時、天気が悪くなり始めたので、感激を噛み締めるのはキャン
プに戻ってからと心に決め、写真を撮って下りてきた。
話は外れるが、零下30度にもなると、電子式の立派なカメラは役に立たず、
レンズ付使い捨てカメラが役に立った。
登り始めてから29日間掛かってベースキャンプまで戻ってきた。
山から下りて、続いてアンカレッジから1400キロ北の北極海を目指して、
リアカーを引いて旅をした。
釣りが好きで、魚を釣って食事をした。
途中、声を掛けられた人の家に泊まらせてもらい、様々な現地の人と交流が持
てた。現地の新聞でも報道された。長いところでは10日間もお世話になった
お宅もあった。
話をしているうちに、学校の子供達にも話しを聞かせてやりたいということに
なり、結局次々と学校を紹介され、4つの学校でマッキンレー登頂の話等をし
た。
そんな中で、何故歩くのかとの質問が多々あった。「歩かないと見えて来ない
ものがある。」と答えた。道草をしながら行くことで、自然や動物そして人々
との交流ができた。
カンジキウサギに出会って、ここでもハーモニカで曲を作った。
北極海まで残り三日間は、真っ直ぐな平原の道を毎日40数キロ歩いたが、
味気なかった。それまでの道程が曲ったり寄り道したり時には戻ったりだった
ので、尚更そのように思った。
3ヶ月と4日間で北極海に辿り着いた。達成したという気持ちと共に、これで
終わってしまい、寂しい気もした。