第467回二木会
日時
1999年5月13日19時から
場所
学士会館
講演者
工藤 和美(昭和54年卒)シーラカンスK&H(株)代表取締役
テーマ:開かれた元気の出る学校
経歴紹介
修猷館高校時代はテニス部で活躍
1979年修猷館高校卒業
1985年横浜国立大学建築学科卒業
1986年株式会社シーラカンス設立
1991年東京大学大学院博士課程修了
横浜国立大学建築学科、東京大学都市工学科非常勤講師
現在 シーラカンスK&Hをご主人と経営
1997年千葉市立打瀬小学校で日本建築学会賞を受賞
1999年6月末「元気の出る小学校(仮題)」日経PB社より発行予定
内容
1.千葉市立打瀬小学校
1987年幕張新都心住宅地基本構想・計画に参画。その町の中の小学校の設
計に、子供達の居心地が良い場所・その子供達の元気が町の活気とつながるこ
とを基本として着手したのが1991年。
従来の学校のイメージや基準を、こうだったら楽しいだろうな、居心地が良い
だろうなと考え直した。
その結果出来たのが、クラスルームとワークスペースの設置で教室と廊下の壁
が無くなり、アルコーブと言う小部屋をクラスルーム横に設け押入れのように
遊べるし先生と相談事もできる。
各クラスルームの間には中庭があり、土に接する機会の少ない子供達が一戸建
ての感覚で遊べるようにした。
階段は子供達の遊び場として、また階段教室としても使えるようにした。
学校の中の通路の一部は、住宅エリアから駅までの通り道となっている。
また町から自然に学校の中が見えるようにし、祖父母が学校内に入ってきて
ベンチに座って小学生の孫達を眺めて元気を分けてもらえる。
特殊なことをしたのではない。当たり前の視点から、何故だろう・どうある
べきかという平凡な所からスタートした結果だった。
1995年に開校し、初代校長が授業の開始・終了のチャイムをなくした結果、
子供達が自分で時間管理をしっかりやるようになった。
体育の時間を土曜日に集中して親も参加できるようにしたら、今では生徒より
大人の方が多くなって活気付いている。
年間約6000人がこの学校を見学に来ている。
2.福岡市立博多小学校
大都市中心部の人口減少に伴い、大博通りと昭和通りの交叉点近くに四校を統
合して博多小学校を造ることとなり、その設計を担当した。
千葉市立打瀬小学校と違うのは、博多山笠の中心地と言う博多を代表するエリ
アであること、周辺は住宅や諸施設が既に有る完成された町であることだった。
子供達の使い勝手の良いクラスルーム、集会所にもなる階段、一つのプールを
幼稚園児から6年生までが使えるような昇降式の底、隣の学童クラブや幼稚園
等と繋がった2階デッキ、上下の学年の繋がりが持てる広場や緑、半地下式の
体育館は大博通りから覗けて、更に体育館の窓の向こう側には運動場も見える。
図書館は小学生だけでなく、地域の方々も利用してもらうことを想定した。
長老を頂点としたと若者(50歳代)等で構成される地域の方々との要望の
調整は、大変でもあり楽しくもあった。
2001年春の開校の際には、皆様にも見て頂きたい。
               以上