=修猷のいま=

 「えっ?ホントに彼らも修猷の卒業生?」6月の東京修猷会総会で、幹事学年(昭和57年卒)として若い卒業生達に出会った時の率直な印象だ。外見はスマートでどこから見ても今どきの若者。平成生まれの卒業生たちが社会に飛び立とうとする今、私達の思い出の中の修猷と現在の姿のギャップを埋めるべく、「修猷のいま」を知ろう。

全校生徒の半数近くが女子

中庭の芝生広場で生徒会選挙の立会演説会
 現在、修猷館の全生徒数は1192名で全学年10クラス編成。そのうち557名を女子が占めるまでになった。昭和24年に初めて女子が入学して以来、昭和50年代半ばまでは、共学と言えど女子の数がとても少なく、食堂では女子は寄り集まって座っていたものである。現在は、運動会の競技に女子の綱引きもあり、また今年度前半の生徒会の三役は、たまたま全員女子だったそうである。あの、男クラと呼ばれた、男子だけの少々むさ苦しい(?)教室がいくつも存在した時代からすると、隔世の感がある。
時代に即した人材教育カリキュラム
 修猷館は、伝統校として長い間培われてきた人材育成の一方で、時代の要請に適った教育カリキュラムや進路指導について、意欲的な改革を行ってきている。ここ数年実施されている人材教育カリキュラムの一部を紹介する。

*クラス編成

 理系文系のクラス分けは2年生から。各々、最難関国立大を目指す英数クラスが1クラスずつある(原則希望者)。医学部志望者向け医進クラスもあり。

 尚、今年度から2期制を採用。

*出前授業

 大学・医療・マスコミ・民間企業など、様々な分野で活躍する方を講師に招き、授業では学べない内容の講義を受ける。平成14年度以来、参加講師は140名以上に上る。毎年講義を担当された講師の方達からは「最近の修猷生は大人しい」との声も…。今年は34講座から選択。

*「課題研究」

 例えば「タンパク質の分離と分子量精密測定」「裁判員制度について」「壊れ方から学ぶ建物—風圧力を測る」等、数十種類のテーマから生徒達が関心のあるものを選択し、研究発表する。修猷館の先生の他、九州大学の教員、出前授業の講師等が顧問として指導する。意欲と思考力の両方を試されるハイレベルなカリキュラムだ。

*進路別研究会

 平成12年より実施。各界で活躍する卒業生が講義を行い、全校生徒が希望の講座を聴講。今年は昭和54年卒39名が、各々の人生経験、キャリアについて熱く語った。講義を担当した先輩諸氏にとっても、現役生と触れ合うことは、とても新鮮で有意義な体験だったようである。

このように、現在の修猷生は、自分の進路を見極めるために、専門家や先輩社会人との交流の機会をより多く与えられている。将来の自己実現や社会的貢献に必要な能力を高めていけるように、修猷館の豊富な人的ネットワークをフルに活用したカリキュラムを享受していると言えるだろう。

生まれ変わった現在の修猷館の姿 旧東門の横に新しい正門が新設された(枠内)


真の修猷生は行事で養われる!
 入学後間もなく行われる応援歌指導に始まり、3年間に行われる数々の行事や部活動に自ら本気で取り組む修猷生の姿は、今も昔も変わらない。現在行われている行事の一部を紹介する。

*応援歌指導(4月)

 応援団の指導のもと、新入生達が初めて自分の殻を脱ぎ捨てて、応援歌に挑戦する。「個人史としての十五年が、世界史としての修猷二百二十五年とぶつかり、せめぎあうところ」(中嶋館長の言葉より)

*大運動会(9月)

 昭和21年に始まり、今年は61回目を迎えた。男子生徒数が以前より減った現在でも、昭和42年以来の七ピラは健在。今年は「元寇」を歌いながらピラミッドを組んだり、ピラミッドが移動するなどのパフォーマンスも見られた。

 現在修猷館で教鞭を取る渡邊康宏先生(昭和57年卒)によると、運動会の練習は、「自分達が現役だった時の、真剣さの中にもほんの少し悲壮感(?)漂う雰囲気というよりは、明るく楽しみながらやっている」そうである。女子エールは華やかなチアリーダーの舞となり、応コンは人も移動したり管楽器を取り入れたり等、毎年、工夫が凝らされている。

 ところで、鉄製のスタンドを建て4ブロックで対抗戦を行う形式は昭和35年以来変わらず。昔も今も、運動会なくして修猷は語れない。

*創立記念行事(5月)

 創立225年目の今年は、講堂のこけら落としとして、地元の「劇団ショーマンシップ」による時代考証を踏まえた創作劇『筑前藩校絵巻〜猷(みち)を修めるもの〜』が上演された。

*海外研修(7月)

 平成7年より実施。面接と論文で選ばれた希望者(今年は12名)が、ニューヨーク・ワシントンD.C.を訪問した。国連やホワイトハウス等の名所見学、OBの企業訪問の他に、現地学生との交流も行われた。

*ハイレベル合宿(8月)

 福岡県が推進する「21世紀人材育成推進事業」プログラムの一つ。福岡スーパーハイスクール(FSH)に指定された修猷館を含む、県下の高校8校の代表生徒約200名が集まり、九重で合宿。大学の先生方の指導により、学びのプロセスを習得する。他校の生徒と寝食を共にし、友情を培う貴重な体験だ。

*研修旅行(1月)

 昔から「修学旅行のない修猷館」であるが、希望者が参加するこの研修旅行では、1年生は東京、2年生は北海道へ行く(沖縄へ行く年もある)。北海道ではスキー・スノーボード体験や旭山動物園訪問など、観光旅行的な要素も。東京研修は、国会議事堂・官庁見学やOB議員訪問、東大や企業訪問などを行う。

*十里踏破遠足(12)

 1・2年生が参加。昨年度は九大伊都キャンパス・二見ヶ浦を通るコースを10時間で踏破。応援団は素足に下駄履きで団旗を掲げて先導、まさに修猷生としてのこだわりにほかならない。

*大文化祭(3月)

 昨年度から卒業式の後日に行われることとなった。クラス単位の発表の中から、来校者の投票により「六光賞」が選ばれる。昨年度館長賞の「We Show-a 昭和修猷」は、10年間にわたる校舎の全面改築以前の、昭和の修猷館を模型で表したもの。同窓会の協力により永久保存が決まったので、母校を訪れて新しい校舎とともに見学されてはいかがだろう。

*その他の主な行事

 春のフェスト(文化部発表会/5月)・文化講演会(5月・10月)・クラスマッチ(7月)・予餞会(1月)・応援歌伝承会(3月)など。



昨年度1年生が文化祭で作った「We Show-a 昭和修猷」 昭和の旧校舎を見事に復活

◆修猷生は今も「気合」好き?

ある女子生徒のことばより

「『気合』という言葉を使う場面は、例えば、テスト前の体力的にきつい時。遅刻寸前の時とかも。修猷生は『気合』という言葉が確かに好き。それは気合を入れるような青春を恥ずかしがらずにできる環境があるから。応援歌指導で『気合入れろ!』と何度も言われるうちに馴染み深くなります!」

◆今も健在 学校近くの懐かしい店

 先日、修猷館の対面にある「珈琲伊藤」を、卒業以来初めて訪れた同窓生E氏(昭和57年卒)の話。

E氏「学生時代頼めんかった、ブルーマウンテンNO.1、価格1000円ください!」

ママ「うちはブレンドがうまいとよ、昔から。ブレンドにしとき!」

E氏「………」

(貧乏を見抜かれたか

ママ「しかしあんた変わらんねぇ!」
 今年開店
31年目を迎える「珈琲伊藤」。ホットサンドは、土曜の昼の、お楽しみのひとつでした。伊藤ブレンドとともに今も人気メニューです。締めには必ず昆布茶が登場。長居の高校生には「もうそろそろ帰らんね」の合図でした。マスターやママさんは今もお変わりないそう。


「珈琲伊藤」のホットサンド
680円)

 その他、昭和40年開店の西新商店街にある「蜂楽饅頭」。皮からはみ出しそうな白餡黒餡、今は1個90円です。
部活帰りの空腹を満たしてくれた、お好み焼屋の「ひさご」は、現在早良区野芥にあります。
昭和
28年創業のラーメン屋「しばらく」は今も西新に健在です。


家族の分も買って行こう